@五感の記憶(センソリー・ウォーク)

ゼン・ヒラノは生前のリー・ストラスバーグより、教師になるべく徹底して(個人的に10年間)メソードアクティングを叩き込まれた。その内容は非常にシステマティックに構成されている。(五感の記憶・オーバーオール・センセーション・デイリー・アクティビティー・アニマルエクササイズ・プライベートモーメント等々)そしてこれらのエクササイズを携えてエチュードとなる。俳優には二つの必要不可欠な課題がある。俳優が現場でまず要求されること「役の置かれた立場を信ずること」であり、それを何回もフレッシュに「繰り返すこと」です。その能力を手に入れるために上記の訓練が必要となる。

A心理身体訓練(サイコフィジカル・エクスプレッション)

心理と身体の結びつきについて、非常に繊細な感性を持つゼン・ヒラノがマイケル・チェーホフ・メソードに基づいて、ブロードウェイのダンサー時代の経験を踏まえ、長年の研鑚を経て独自に開発した訓練方法「心理身体訓練」を新しく構成し提供している。マイケル・チェーホフが言う「心理に対して極度に繊細な身体」を身につけることを目的とする。

B感情の解放(フィーリング・リべレーション)

俳優の演技の問題は非常に個人的な問題、劣等感や疎外感に代表される「抑圧された感情」と呼ばれる、主に幼児期に感じまいと抑え込んだ強烈な感情に基づいている。その根本的な問題の解決は「抑圧された感情」を追体験によってあるがままに感じ取り、表現することによって実現される。自分の深層心理を体験することは、深い自己理解に繋がり、俳優にとって最も大切な能力「人間理解」を養うことになる。また、俳優が一つの役の人生を演じ切るような場合には、必ず恋人の死に直面するなど「絶望的な孤独感」と言われるような感情を呼び覚まし、観客やカメラの前で繰り返し表現することを求められる。フィーリング・リべレーションによって、そのような技術を習得することができ、また、強烈な感情に耐えうる心身を獲得することができる。

★俳優のための太極拳
メソード・アクティングはモーメント・オブ・モーメント、瞬間的に相手役に反応する演技と言われる。そのような能力を養うために、ゼン・ヒラノが日本で初めて太極拳を俳優訓練に取り入れ「俳優のための太極拳」を構成した。身体の各部分を同時に別々に動かす太極拳によって鍛えられた俳優は、演出家の身体的などのような要求にも応えられる能力を獲得することができる。